苦情が来てしまいゲーム実況ができなかった11月、たくさん時間があったので、水野敬也さんの『夢をかなえるゾウ』シリーズを読み返してみた。
夢をかなえるゾウは、神様のガネーシャがいろんな課題を出し、その課題を通して主人公たちが成長していく物語である。
「夢を叶える」というテーマを軸にして、「人生の意味」や「世界の仕組み」といった哲学的な内容も学べる、本当に素晴らしい本だ。
この記事では、特に主人公を変えた課題に焦点を当てて、大切な内容や、他の本で見たことがなかった内容をまとめようと思う。以下のような疑問を持ったことがある人は、ぜひ最後まで読んでほしい。
- 夢とは何か?
- なぜ夢は大切なのか?
- どうやって夢を見つけるのか?
- 成長するとはどういうことなのか?
- 夢が叶わなかったときどうすれば良いか?
ちなみに、小説としても面白い作品なので、物語のネタバレはしないようにしている。この記事を読んだ後に、ストーリーを楽しむのも非常におすすめだ。
【1巻】変われないことに苦しむサラリーマン
「自分を変えるぞ!」と意気込んで、インドに行ったものの成果は得られず、何をやっても自分が変われないことを再認識するだけなんだと落ち込んでいた主人公。
変わるためにはどうすれば良いか、成功するためには何を考えれば良いのかを教えてくれる。
楽しいことしかできない
成功者たちは、特別に意思が強くて無理やり頑張っているわけではなく、ただ楽しいからやっている。だから、自分が楽しいと感じられるようになれば、誰だって成功者たちのように夢を追うことができる。
人を喜ばせることを楽しむ
お金はイヤなことをしてもらうものではなく、人を喜ばせて、幸せにした分だけもらうものである。人間は楽しいことしかできないので、成功するためには、人を喜ばせるのを楽しいと思える自分に変えていくことが大切である。
でも、お腹が空いていると人に食料を渡せないように、自分が満たされていないと人を喜ばせることはできない。そんなときは、当たり前のようにそこにあるものに感謝することによって、自分がもう満たされていることを感じると良い。
成長することを楽しむ
世界は自分には変えられない秩序正しい法則によって動いている。そして、成功も失敗もその法則に従って生まれている。その法則と自分のズレを矯正することが成功するための方法であり、成長である。
例えば、今月苦情が来てゲーム実況できなかったけれど、おかげで「夜中じゃなかったら大丈夫だろう」と思っていた自分と、世界の法則のズレを知って矯正することができた。
【2巻】才能がないことに悩むお笑い芸人
2巻の主人公は、自分に才能がないことに悩んでいるお笑い芸人だ。
自分より後にお笑いの世界にやってきた人が、自分より笑いを取るのを見て挫折しそうになっているのだけれど、その気持ち、すごく共感できる。
やりたいことの才能がなかったときはどうすれば良いのだろうか。
困っている人を助けられる
才能がある人が、才能のない人の気持ちを理解するのは難しい。才能がなくて、困ったり、悲しんだり、苦しんだりするからこそ、同じ悩みを持つ人に共感できるのだ。
そして、困っている人を助けることで、自分もその人も、困っている感情から抜け出せる。
楽しみを取っておける
この本にも書かれている内容だけれど、同じく水野敬也さんの『LOVE理論』で伝えられているメッセージがとても印象に残ったので紹介したい。
ルックスにコンプレックスを持っていた水野さんが、彼女に本音で「カッコイイ」と言われたことについて書かれたものだ。
生まれたときから、ずっとお腹が一杯だったら、おいしいものを食べる喜びを味わえないように、もし、生まれたときからモテていたら、この人生で感じることのできた多くの喜びは存在しなかっただろう。
生まれつき、人に誇れるルックスも、人が羨む才能も、何も持っていない。
しかし、その「持っていない」という事実こそが世界からの贈り物なのだ。
このメッセージには、たくさんの人を救うに違いない。
日常に楽しさを見出す
お金で買える喜びは、すべて他人が作ったものである。
でも、どんなにつらい状況でも、それを楽しもうとする気持ちさえあれば、人は、自らの手で喜びを作り出すことができる。
お金がなくても人は幸せになることができる。
会社を辞めた主人公は、日常に小さな喜びを作っていたけれど、見習いたい過ごし方だ。
【3巻】欲しいものが手に入らないOL
3巻の主人公は、お金も理想の恋人も欲しいと思っているけれど、手に入れることができていないOLである。
夢の見つけかたと、目の前の苦しみを乗り越えて将来の楽しみを手に入れる方法を教えてくれている。
自分で自由にできる仕事を作る
人間にとって、自分で考えて工夫していくのはとても楽しい作業である。
人から押しつけられた作業ではなく、自分たちで自由に工夫できる作業だから楽しめる。仕事をそういう形まで持っていく試みが大切だ。
目の前の苦しみを将来の楽しみに変える
小さな困難を乗り越え続けなければ、手に入らないものはたくさんある。
例えば、お菓子の誘惑に勝たなければ、理想の体型に近づけないし、遊ぶのを控えなかれば、資格試験に合格することはできない。
僕たちは、自分の行動をコントロールするときに、目の前の苦しみを我慢しようと考えてしまう。
そうではなく、手に入るであろう将来の楽しみを大きくするのである。
将来の楽しみが、目の前の苦しみより大きくなったとき、お菓子を食べないことや、遊ぶのをやめることさえ、楽しみに変わるのだ。
【4巻】死について考えていなかったパパ
4巻は、主人公が余命3ヶ月を告げられるところから物語が始まる。
「死」に対する考え方を変えてくれた、僕の一番好きな巻である。
かなえてきた夢を思い出す
みんなが知っているような成功者にも、叶えられなかった夢があり、
僕たちにも、叶えてきた夢がある。
誰もが、叶えてきた夢と、叶えられなかった夢の両方を持って死んでいくのだ。
もし、夢が叶わなかったら、叶えてきた夢を思い出しながら最期を迎えれば良い。
この考え方は、僕の心のよりどころになってくれている。
経験するために存在する
死んだら自分を構成していた粒子がバラバラに散っていく。
その粒子たちは、水や空気に変わり、海へと流れ、大空を漂い、植物に吸収され、動物に食べられ、新しい命となり、その命が終わり、バラバラに散って、、、
「自分」は姿を変えるだけで、ずっとこの世界にいる。
むしろ、バラバラな粒子たちが、100年くらいの間、奇跡的に「自分」という姿になっている。
そして、ガネーシャはこう締めくくった。
「(前略)人間が存在する理由は何か? それは、苦しみも、その苦しみに支えられた喜びも、すべてを『経験』するためや。水にも、土にも、木にも、他の生き物にもできへん、人間という形でしかできへん『経験』をするためなんや」
【0巻】夢を持つことが怖いサラリーマン
0巻は、失ったり、叶わなかったときに悲しむだけだから、夢なんて持たないほうが良いと考えているサラリーマンが主人公だ。
夢とは何か、なぜ夢は大切なのかに焦点を当てている、まさに0巻にふさわしい内容だ。
悲しみは自分が花開くための種である
本物の夢とは、自分と同じ痛みを持つ人を助けることで、自分を救うことである。
人間は痛みを経験することで、他者の痛みが分かるようになる。他者の苦しみや悲しみを、まるで自分のことのように感じられるようになる。人は痛みによってつながることができるのだ。
また、人生の意味を教えてくれるのも悲しみである。
自分だけに起こった悲しい出来事は、自分だけの人生の意味を教えてくれる。
そして、悲しい出来事は、最後には必ず、人生を喜びで満ちた豊かなものにしてくれる。
主人公は、世界の美しさに気づいてこう考えた。
この世界は、かなえられない夢であふれているのだろう。でも、もし、結果的に夢がかなえられなかったとしても、その過程で「必ず」手に入れられるものがある。それは、自分ができる最高の行動を選ぶことで、「自分を好きになれる」ということだ。
夢はものごとの意味をまるっきり変える
最後に、なぜ夢は大切なのかについてのガネーシャの言葉を引用したい。
「夢にはな、ものごとの『意味』をまるっきり変えてまう力があるんや。これまでは面倒でしかなかった作業、ありふれた風景や出来事……何の変哲もなかったものが特別な意味を持ち、とてつもない輝きを放ち始める。それはつまり、人生が輝き出す、ちゅうことや」
あとがき
シリーズを通して、「闇があるから光がある」ということが印象に残った。
世界とのズレ、才能がないこと、目の前の苦しみ、死、痛み。
これらのおかげで、自分を好きになり、自分の人生を喜びで満ちた豊かなものにできるのだ。
まだまだ分かっていない内容もあるけれど、ずっと胸に刻んでおいて、経験を重ねながら理解を深めていきたい。
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